シッタは、ろくろ成形で作った器を削るときに使う補助的な受け台であり、特に茶碗、湯呑み、ぐい呑み、鉢のように口縁を下にして直接ろくろ盤へ置きにくい作品で役立つ道具です。
水挽きで形を作った直後の器はまだ完成ではなく、乾き具合を見ながら底の厚みを整え、高台を削り出し、全体の重さや見込みの印象を調整することで、器としての使いやすさと見た目の安定感が生まれます。
その削り工程で作品を安定させる考え方がわからないまま作業すると、中心がずれて高台が片寄ったり、口縁を傷めたり、底を薄くしすぎて穴を開けたりしやすくなります。
このページでは、シッタを単なる陶芸用語としてではなく、ろくろの成形技法における削りの精度を支える仕組みとして、役割、種類、作り方、使い方、失敗の原因、練習の順番までを立体的に整理します。
初心者が最初に押さえるべきなのは、シッタを使えば削りが自動的にうまくなるわけではなく、器の乾き具合、受け面の形、中心出し、カンナを当てる順番を合わせて初めて効果が出るという点です。
シッタとは高台削りを安定させる受け台
シッタとは、ろくろ成形した作品を削るときに、器を伏せたり支えたりするための台です。
陶芸では水挽きで形を作ったあと、半乾きの状態で底や高台まわりを削る工程があり、このとき作品を安定して回転させるためにシッタが使われます。
特に口径が広い器、口縁が薄い器、直接ろくろ盤に伏せると傷がつきやすい器では、シッタの形が削りの安全性と仕上がりを大きく左右します。
シッタを理解することは、道具名を覚えることではなく、ろくろ成形後の器をどのように支え、どこを基準に削り、どの厚みを残すかを判断できるようになることです。
削りで使う補助台
シッタは、削りたい作品を安定して保持するための補助台です。
器をろくろ盤へ直接伏せる方法でも削れる場合はありますが、口縁の形が不安定だったり、見込みの深さがある器だったりすると、接地面が少なくなって回転中にぶれやすくなります。
シッタは作品の内側や口縁近くを受けることで、削りたい底や高台の部分を上に向けたまま、ろくろの回転に合わせて器を支えます。
この支えがあると、作り手は手で強く押さえ続ける必要が減り、カンナを当てる角度や削る量に意識を向けやすくなります。
ただし、シッタの形が作品に合っていない場合は、補助台であるはずの道具がかえってぐらつきの原因になるため、器とシッタの接点を観察する習慣が重要です。
初心者はシッタを特別な上級道具と考えがちですが、実際には削りを安全に進めるための基準点を作る道具として捉えると理解しやすくなります。
高台を守る役割
シッタの大きな役割は、器の口縁や胴を傷めずに高台を削れる状態を作ることです。
高台は器がテーブルに接する部分であり、見た目の締まり、持ち上げたときの軽さ、置いたときの安定感に関わる重要な要素です。
高台を削るには底を上にして作業する必要がありますが、器をそのまま伏せると口縁に重さが集中し、乾き具合によってはゆがみや欠けが起こります。
シッタで作品を受けると、口縁への負担を分散しながら底を上に向けられるため、高台の外径、畳付き、内側の深さを落ち着いて整えられます。
高台は一度削りすぎると元に戻しにくいため、支えが不安定な状態で急いで削るより、シッタで安定を作ってから少しずつ形を追うほうが安全です。
高台を美しく見せるための道具というより、器を実用品として成立させるための厚みと接地を整える道具と考えると、シッタの重要性が見えてきます。
伏せて削る理由
ろくろ成形した器を伏せて削るのは、底側に残った余分な土を取り除き、器の重さと姿を整えるためです。
水挽きの段階で底を薄くしすぎると作品が崩れやすくなるため、多くの場合は削りしろを残して成形し、半乾きになってから底や腰を削って仕上げます。
そのとき器を伏せると、底の厚み、腰の張り、高台の位置が見やすくなり、ろくろの中心に合わせて同心円状に削ることができます。
シッタは、この伏せた状態を安定させるための受け皿のような役割を果たし、作品が回転に負けて横へ逃げるのを抑えます。
伏せて削る工程では、削りたい場所だけでなく、削らない場所をどう守るかも重要になります。
シッタを使うと、見込みや口縁の形を保ちながら底側を扱えるため、成形と削りを分けて考えるろくろ技法の流れが理解しやすくなります。
中心出しの基準
シッタを使う削りでは、作品をただ置くだけではなく、ろくろの回転中心に器の中心を合わせることが欠かせません。
中心がずれたまま削ると、片側だけが深く削れたり、高台の輪が楕円のように見えたりして、完成後の器に違和感が残ります。
中心出しでは、ろくろをゆっくり回しながら器の外周や底の揺れを見て、手のひらや指先で少しずつ位置を直していきます。
このときシッタの受け面が均一でないと、器を動かしても別の場所で浮きが出るため、シッタ自体の形も中心出しの一部として確認する必要があります。
初心者は器の外側の揺ればかり見がちですが、底の中心、口縁の高さ、シッタとの接点を順番に見ると、ずれの原因を分けて考えやすくなります。
中心出しが整ってから削り始めるだけで、カンナの音が一定になり、削り跡もそろいやすくなるため、シッタを使う意味が実感できます。
生シッタの特徴
生シッタは、素焼きにせず、乾燥前後の粘土の性質を利用して使うシッタです。
一般にシッタは水分を含ませたり接地面を湿らせたりしながら使うことがあり、生の土に近い状態のほうがろくろ盤へなじませやすい場面があります。
- 作品に合わせて削り直しやすい
- ろくろ盤へなじませやすい
- 乾燥や欠けに注意が必要
- 同じ形の反復制作に向く
生シッタは柔軟に調整できる一方で、水分管理が不十分だと崩れたり、受け面が摩耗したりするため、使う前後の保管と乾き具合の確認が欠かせません。
初心者が使う場合は、万能の台として扱うのではなく、器の口径や深さに合わせて受け面を少しずつ整える練習道具として使うと上達につながります。
乾きすぎて硬くなった部分と柔らかい部分が混在していると、受け面の当たり方が不均一になりやすいため、削り前に指で触れて状態を確かめることが大切です。
素焼きシッタの違い
素焼きシッタは、形を作ったシッタを焼いて硬くし、繰り返し使いやすくしたものです。
素焼きにすると形が安定しやすく、同じ寸法の器を何個も削るときに便利ですが、生の土のようにその場で大きく変形させることはできません。
| 種類 | 向く場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 生シッタ | 微調整が多い制作 | 水分管理が必要 |
| 素焼きシッタ | 反復制作や定番形 | 受け面の適合が重要 |
| 簡易シッタ | 練習や一時的な支え | 精度を過信しない |
どちらが優れているというより、作品の形、制作数、求める精度、作業環境によって使い分けるものです。
素焼きシッタを使う場合は、硬さがあるぶん作品側を傷つける可能性もあるため、接触する部分に布や薄い土を使うなど、工房ごとの工夫が加わることがあります。
同じ器を量産するなら素焼きシッタが便利ですが、一点ものや形を探りながら作る練習では、生シッタの調整しやすさが役立つことも多くあります。
口縁を傷めない利点
シッタを使う利点の一つは、器の口縁を直接ろくろ盤へ押し付けずに削れることです。
口縁は器の中でも薄く作られることが多く、成形直後の乾燥差や持ち方の癖によって、見た目以上に弱くなっている場合があります。
直接伏せる削りでは、口縁の一点に重さがかかったり、ろくろ盤との摩擦で欠けたりすることがありますが、シッタを使うと受け面を広く取りやすくなります。
特に湯呑みや茶碗のように使う人の口や手に触れる器では、口縁の仕上がりが使い心地に直結するため、削りの段階で傷を作らない意識が大切です。
シッタは高台を削るためだけの道具ではなく、完成時に目立つ口縁や胴のラインを守るための道具でもあります。
削りの上達を目指すなら、削った部分だけを見るのではなく、削るために支えた部分がどう保たれているかまで確認する必要があります。
初心者が覚える順番
初心者は、最初から複雑なシッタを作ろうとするより、器を安定して伏せるための基本を順番に覚えるほうが上達しやすくなります。
まずはシッタを使わない簡単な削りで底の厚みや高台の形を理解し、その次にシッタへ器を据えて中心を合わせる練習をすると、道具の必要性を実感できます。
- 底の厚みを残して成形する
- 半乾きの硬さを見極める
- 器を伏せて中心を出す
- 高台の外径を決める
- 内側を少しずつ削る
基本手順を確認したい場合は、削り工程を写真や動画で公開している陶芸ショップ.コムの削り解説や、ぐい呑み制作の流れを整理した造ハウのシッタ手順のような実例を見ると、作業の順番を具体的に追いやすくなります。
ただし、映像の形をそのまま真似するだけでは自分の器に合わないことがあるため、口径、深さ、乾き具合、土の粘りを見ながら調整する意識を持つことが大切です。
シッタを覚える順番は、道具を作る順番ではなく、作品を安定させる判断を身につける順番だと考えると迷いにくくなります。
シッタの種類を選ぶ視点

シッタには、作品ごとにその場で合わせるもの、同じ形の器を繰り返し削るためのもの、練習用に簡易的に作るものなどがあります。
どの種類を選ぶかは、器の形と制作目的によって変わり、単に大きい台を用意すれば安定するわけではありません。
器の内側に深く入りすぎるシッタは取り外しにくくなり、浅すぎるシッタは支えが弱くなるため、受け面の高さと径の関係を確認する必要があります。
ここでは、器形、土の硬さ、制作数という三つの視点から、シッタの種類をどう選ぶかを整理します。
器形で選ぶ
シッタは、削る器の形に合わせて選ぶことが基本です。
茶碗のように丸みのある器では、内側の曲面をやさしく受けるシッタが向き、湯呑みのように深さのある器では、口径と胴の立ち上がりを考えて支える位置を決めます。
皿や浅鉢の場合は、口縁を直接下にすると変形や欠けが出やすいため、作品の外周に過度な力がかからない受け方を考える必要があります。
反対に小さなぐい呑みでは、大きすぎるシッタを使うとかえって中心が読みづらくなり、削りの力が作品へ不均一に伝わることがあります。
器形で選ぶときは、作品がどこで支えられているか、削りたい場所がどれだけ自由に見えているか、取り外すときに引っかかりがないかを確認します。
硬さで選ぶ
シッタを選ぶときは、作品側とシッタ側の硬さの組み合わせも重要です。
作品が柔らかすぎると、シッタに置いたときに形が沈み、反対に硬すぎると削りにくくなってカンナの力が強くなります。
| 状態 | 起こりやすいこと | 対応 |
|---|---|---|
| 作品が柔らかい | 口縁がゆがむ | 乾燥を待つ |
| 作品が適度 | 削り跡が安定する | 少しずつ進める |
| 作品が硬い | カンナが跳ねる | 力を抜いて薄く削る |
| シッタが弱い | 受け面が崩れる | 形を整え直す |
硬さの判断は、指で触った感覚、カンナを当てたときの音、削りくずの出方を合わせて見るとつかみやすくなります。
初心者は硬くなった器のほうが安全に見えるかもしれませんが、硬すぎると削りに力が必要になり、結果として欠けや削りすぎにつながることがあります。
シッタの硬さと作品の硬さが合うと、器が吸い付くように安定し、カンナの刃が土を薄くさらう感覚を得やすくなります。
数を増やす目安
シッタは一つあればすべての器に対応できる道具ではありません。
最初は汎用的な形で練習してもよいですが、制作する器の種類が増えると、口径、深さ、腰の丸み、底の大きさに合わせて複数のシッタが必要になることがあります。
- 茶碗用
- 湯呑み用
- ぐい呑み用
- 浅鉢用
- 皿用
- 同一寸法の量産用
数を増やす目安は、作品をシッタに置いたときに毎回大きな修正が必要になるかどうかです。
毎回受け面を削り直したり、器が斜めに乗ったりするなら、形に合った別のシッタを用意したほうが削りの精度は安定します。
ただし、数を増やしすぎると管理が難しくなるため、初心者はよく作る器形から優先してそろえると効率的です。
シッタを作る基本工程
シッタは、完成品として買うというより、工房や作り手が自分の作品に合わせて作ることの多い道具です。
作り方の基本は、ろくろで土を立ち上げ、削る作品の内側や口縁に合う受け面を作り、乾燥具合を整えて使える状態にする流れです。
重要なのは、形を美しく作ることではなく、作品を安定して受けられる高さ、径、傾斜、接触面を作ることです。
ここでは、シッタを作るときに迷いやすい土の立て方、受け面の合わせ方、乾燥の見極めを順番に見ていきます。
土をろくろで立てる
シッタを作る第一歩は、ろくろ上で土を中心に据え、削る作品を支えられる高さまで立ち上げることです。
通常の器を作るときと同じように土を締めて中心を出しますが、目的は飲み物を入れる器を作ることではなく、支えるための台を作ることです。
そのため、壁を薄くしすぎる必要はなく、むしろ使用中に変形しない程度の厚みと安定した底まわりを残すことが大切です。
高さを出しすぎると支点が高くなって器がぐらつきやすくなり、低すぎると削りたい部分が手や道具に当たりやすくなります。
土を立てる段階では、実際に削る器の深さや口径を思い浮かべ、どの位置で受けると無理がないかを考えながら形を作ります。
受け面を合わせる
シッタ作りで最も大切なのは、作品を受ける面を器の形に合わせることです。
受け面が一点だけに当たると器が不安定になり、広すぎる面で強く当たると口縁や内側に負担がかかるため、接触の仕方を細かく調整します。
| 見る場所 | 良い状態 | 悪い状態 |
|---|---|---|
| 受け面 | 均一に当たる | 一点だけ当たる |
| 高さ | 削り面が見える | 道具が入らない |
| 径 | 器が自然に止まる | 大きすぎて浮く |
| 傾斜 | 形に沿う | 角で傷つく |
受け面は、削る作品を何度か置きながら少しずつ削って合わせると、過剰に削り落とす失敗を防ぎやすくなります。
接触面を見極めるときは、器を置いた瞬間のぐらつきだけでなく、ろくろをゆっくり回したときの揺れや音も確認します。
受け面が合ったシッタは、器を強く押さえなくても自然に落ち着くため、削りの力を最小限に抑えられます。
乾燥を見極める
シッタは、作った直後の柔らかい状態では形が崩れやすく、乾燥しすぎると調整しにくくなります。
使いやすい状態は作り方や土によって変わりますが、受け面が指で簡単につぶれず、必要に応じて少し修正できる程度の硬さを目安にします。
- 指跡が深く残らない
- 受け面が欠けにくい
- 水分が極端に偏らない
- ろくろ盤で安定する
- 器を置いても沈まない
乾燥の見極めは作品側にも関係し、シッタだけが適切でも、削る器が柔らかすぎれば口縁が変形します。
反対に、器が乾きすぎている場合はシッタに安定して乗っても、カンナが土を削らずに跳ねたり、欠けを作ったりすることがあります。
シッタ作りでは、台そのものの完成度だけでなく、使うタイミングまで含めて工程を設計することが大切です。
シッタを使う削り手順

シッタを使う削りは、ろくろへ固定し、器を据え、中心を出し、高台の外側から内側へ順に削る流れで進みます。
手順の一つひとつは単純に見えますが、どこかを省略すると、中心のずれ、器のぐらつき、削りすぎ、口縁の傷につながります。
特に初心者は、器を置いたらすぐ削り始めたくなりますが、削る前の固定と確認に時間をかけるほど失敗は減ります。
ここでは、ろくろ盤への固定、器の据え方、高台削りの順番を、実際の作業をイメージしやすい形で整理します。
ろくろに固定する
シッタを使うときは、まずシッタ自体をろくろ盤の中心へ安定して固定します。
シッタが中心からずれていると、その上にどれだけ丁寧に器を置いても、回転全体がぶれてしまいます。
生シッタの場合は、底面を軽く湿らせたり、土の粘りを利用したりして、ろくろ盤となじませることがあります。
固定したら、ろくろをゆっくり回してシッタの外周や上面の揺れを見て、必要であれば手で押して中心へ寄せます。
この段階でシッタががたつく場合は、器を置く前に底面や接地を直すべきであり、作品の重さで無理に押さえつけるのは避けます。
器を据える
シッタに器を据えるときは、作品の中心とシッタの中心を合わせるように静かに置きます。
勢いよく置くと口縁や内側に傷が入りやすく、まだ柔らかい作品では重みで形が沈むことがあります。
- 器を両手で水平に持つ
- 受け面へ静かに置く
- ろくろを低速で回す
- 揺れを指先で直す
- 強く押さえすぎない
中心を出すときは、器の外側を見ながら少しずつ動かし、急に大きくずらさないことが大切です。
器がしっかり据わった状態では、回転中の見た目の揺れが小さくなり、手を添えたときの振動も穏やかになります。
ここで焦って削り始めると、後から高台の片寄りに気づいても修正が難しくなるため、据える工程を削りの一部として丁寧に扱います。
高台を削る
高台を削るときは、最初に外径を決め、次に高台脇を整え、最後に内側を削る流れが基本になります。
どこから削るかを決めずに作業すると、厚みの基準がなくなり、器の重心や見た目の締まりが崩れやすくなります。
| 順番 | 作業 | 目的 |
|---|---|---|
| 一 | 外径を決める | 高台の大きさを作る |
| 二 | 高台脇を削る | 腰の重さを取る |
| 三 | 畳付きを整える | 接地を安定させる |
| 四 | 内側を削る | 底の厚みを調整する |
高台の外径は器の見た目だけでなく、置いたときの安定感にも関わるため、小さくすれば上品になるとは限りません。
内側を深く削りすぎると底抜けの危険があるため、成形時に残した厚みを想像しながら、削りくずの量と音を確認して進めます。
シッタを使う高台削りでは、台が安定しているからこそ削りすぎやすい面もあるため、途中で何度も止めて厚みと重さを確認することが重要です。
失敗を減らす調整のコツ
シッタを使っても削りがうまくいかない原因の多くは、道具そのものではなく、器との適合、乾き具合、中心出し、カンナの当て方のどこかにあります。
失敗を減らすには、ぐらつきが出たときに力で押さえ込むのではなく、どの接点が合っていないのかを見分けることが必要です。
削りは一度進めると戻しにくい工程なので、違和感がある状態で続けない判断も技術の一部です。
ここでは、ぐらつき、削りすぎ、片寄りという初心者が特につまずきやすい三つの問題を、原因と対策に分けて整理します。
ぐらつきを読む
器がシッタの上でぐらつくときは、受け面、中心、器の硬さのいずれかに原因があることが多いです。
受け面が一点で当たっている場合は、器を少し押すだけで反対側が浮き、ろくろを回したときに一定の周期で揺れが出ます。
中心がずれている場合は、器全体が横へ振れるように見え、カンナを当てると片側だけ深く削れる感覚があります。
器が柔らかすぎる場合は、最初は安定して見えても、重さや手の力でじわじわ形が変わり、削るほど不安定になります。
ぐらつきを見つけたら、まず削る手を止め、シッタの受け面を直すのか、器の置き位置を直すのか、乾燥を待つのかを分けて判断します。
削りすぎを防ぐ
シッタを使うと作品が安定するため、安心して削り進められる反面、底を薄くしすぎる失敗も起こります。
削りすぎを防ぐには、成形時に残した底の厚みを意識し、削り始める前に高台の外径と内側の深さをおおまかに決めておくことが大切です。
| 症状 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 底が抜ける | 内側を深く削る | 厚みを確認する |
| 高台が細い | 外径を攻めすぎる | 安定を優先する |
| 腰が弱い | 胴を削りすぎる | 形の張りを残す |
| 接地が悪い | 畳付きが不均一 | 水平を整える |
削りすぎは、最後の数回のカンナで起こることが多いため、形が近づいた段階で削る量を小さくすることが安全です。
持ったときの軽さだけを追いすぎると、実用時に頼りない器になることがあるため、使う場面に合う厚みを残す意識が必要です。
削り終えたあとに器を外して重さや底の響きを確認し、次回の水挽きでどれくらい削りしろを残すかへ反映させると、成形と削りがつながって上達します。
片寄りを直す
高台が片寄る原因は、削りの途中で器がずれた場合と、最初の中心出しが不十分だった場合に分けられます。
片寄りに気づいたときは、削り跡だけを追って直そうとするとさらに形が崩れるため、まず器をシッタから外さずに回転の中心を確認します。
- 削る手を止める
- 低速で回転を見る
- 底中心の揺れを確認する
- 器の置き位置を微調整する
- 削る基準線を作り直す
削り始めの浅い段階なら中心を出し直して修正できますが、深く削ったあとでは完全な修正が難しいこともあります。
その場合は、高台を無理に細く整えるより、接地と安全な厚みを優先し、次の制作で中心出しの精度を上げるほうが結果的に上達します。
片寄りを失敗として終わらせず、どの時点でずれたのかを記録すると、シッタの受け面、器の置き方、カンナの力の癖を具体的に見直せます。
シッタを上達に生かす練習法
シッタを使いこなすには、知識を読むだけでなく、同じ形の器を何度も作り、成形から削りまでの変化を比べる練習が効果的です。
一個だけ作ると偶然うまくいったのか、形や厚みが適切だったのかを判断しにくいため、同じ粘土量、同じ口径、同じ高さを目指して複数作ると違いが見えます。
シッタの練習は、道具の扱いだけでなく、水挽きでどれだけ削りやすい形を作れているかを確認する練習でもあります。
ここでは、反復制作、道具の使い分け、削り後の見直しという三つの視点から、シッタを上達に結びつける方法を整理します。
同じ形を反復する
シッタの効果を確かめるには、同じ形の器を複数作って削り比べる方法が向いています。
毎回違う形を作ると、シッタが合っていないのか、器の形が違うのか、乾き具合が違うのかを判断しにくくなります。
同じ形を反復すると、シッタに乗せたときの安定感、中心出しにかかる時間、削りくずの出方、高台の大きさのばらつきが見えやすくなります。
最初は湯呑みやぐい呑みのように比較的小さく扱いやすい形で練習すると、失敗しても原因を観察しやすくなります。
反復制作では、一個ごとの完成度よりも、前回よりどこが安定したか、どの工程で時間がかかったかを記録することが上達につながります。
道具を使い分ける
シッタを使う削りでは、シッタだけでなく、カンナ、トースカン、スポンジ、亀板などの周辺道具も仕上がりに関わります。
高台の外径を決めるときは線を引く道具が役立ち、内側を削るときはカンナの形や刃の当て方によって削り跡が変わります。
| 道具 | 主な役割 | 使う場面 |
|---|---|---|
| シッタ | 器を支える | 伏せて削る |
| カンナ | 土を削る | 高台や腰を整える |
| トースカン | 線を引く | 高さや径をそろえる |
| スポンジ | 水分を調整する | 受け面を湿らせる |
道具を増やすほど上達するわけではありませんが、それぞれの役割を分けて使うと、作業の迷いが減ります。
初心者は一つのカンナで全部を済ませようとしがちですが、外側を大きく削る場面と内側を細かく整える場面では、刃の形や持ち方を変えるほうが安全です。
シッタを中心に考えると、削り工程は作品を支える道具、形を測る道具、土を取る道具、水分を整える道具が組み合わさって成立していることがわかります。
削り後を見直す
シッタを使った削りの練習では、削り終えた瞬間よりも、器を外して観察する時間が重要です。
高台の輪が中心にあるか、畳付きが平らか、底の厚みが適切か、口縁に傷がないかを確認すると、次回直すべき点が見えてきます。
- 高台の中心
- 畳付きの水平
- 底の厚み
- 腰の削り跡
- 口縁の傷
- 全体の重さ
見直しは乾燥後や素焼き後にも行うと、削りのときには気づかなかったゆがみや厚みの差が見えることがあります。
特に焼成後は、置いたときのがたつきや持ったときの重さがはっきりするため、シッタでの支え方と高台削りの結果を振り返る良い機会になります。
削り後の観察を次の水挽きへ戻すことで、最初から削りやすい厚みと形を作れるようになり、ろくろ成形全体の精度が上がります。
シッタを理解すると削りの精度が上がる
シッタは、ろくろ成形した器を伏せて高台や底まわりを削るための受け台であり、作品を安定させることで削りの精度と安全性を高める道具です。
重要なのは、シッタを使うかどうかだけではなく、器の形に合った受け面を作り、適切な乾き具合で据え、中心を出してからカンナを当てるという流れを守ることです。
生シッタと素焼きシッタにはそれぞれ特徴があり、微調整を重視する練習や一点制作では調整しやすいものが便利で、同じ形を繰り返し削る場合は形の安定したものが役立ちます。
ぐらつき、削りすぎ、片寄りの多くは、受け面の適合、器の硬さ、中心出し、削る順番のどこかに原因があるため、違和感が出たら作業を止めて原因を分けて考えることが大切です。
シッタを理解すると、高台削りだけでなく、水挽きの段階でどれだけ厚みを残すか、どの形なら支えやすいか、どこを削らずに守るべきかまで意識できるようになります。



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